前回は、最近発売されたヴィンテージ再現系のレプリカジーンズをジェラード 301XXとウエアハウス 1000XX(dead stock blue)について、ヴィンテージリーバイスとの比較という観点から、概観しましたが、今回は、ジェラード 301XXについて、シルエットと生地の2点をもう少し深く見ていきたいと思います。ちなみにディテールについては、ホームページ(ジェラード 301XX)で取り上げていますので、そちらをご覧いただければと思います。
1 生地の比較
生地の比較は、1953~4年頃の製造と思われるレザーパッチのリーバイス 504ZXXと、1955年頃の製造と思われるリーバイスLEVI'S 504ZXXとを比較対象として見ていきます。Jジェラード 301XXとヴィンテージの2本はいずれも糊を落としていない状態です。なお、色味、色落ち、質感といった要素は、ある程度履き込んでからでないときちんと判断できないことを承知の上での検証です。
色味については、JELADO 301XXは、比較したヴィンテージリーバイスと比べると赤みが強いという点で異なっています。しかし、ヴィンテージ感に乏しいという訳ではなく、ほんの少し穿き込んだギャラ無しのXXやBIG Eに見られるよなう色合いに近いと思われ、むしろレプリカらしさに乏しいかな?という印象を受けました。
また、色の深みは、あまり強くは感じません。ただ、レプリカの中には、いたずらに色を濃くした結果、履き込んだ後の色合いにも影響して、いかにもレプリカの色になってしまうものもままあります。JELADO 301XXについては、そういった心配は要らないかもしれません。
スラブ感については、極端なザラつきではなく、実際のヴィンテージのスラブ感に近いといってよいと思います。ただ、この点は、見た目は淡白に映るので、多くのレプリカのファンには物足く感じられるように思います。ネップは、生地表面からも裏面からも散見されますが、ネップ感を強調するということもありません。
生地の質感については、スラブ感があまり強くないことに窺われるように、織りを甘くしたような様子はありません。また、公式の情報では、JELADO 301XXでは経糸に超長綿を使用しているとのことですが、これは生地の触感・しなやかさに現れており、糊付きの状態でも固い印象は受けません。質感については、ヴィンテージに非常に近い印象を受け、感心しました。生地の質感は、実際のヴィンテージ感を出すために重要だと思いますが、糊を落として穿き込んでどうなるのか楽しみです。
2 シルエットの比較
次に、JELADO 301XXのシルエットをヴィンテージリーバイスと比較してみます。
左がレザーパッチのリーバイス504ZXX、右がジェラード 301XX |
上がリーバイス504ZXX、下がジェラード301XX |
【腿の部分】上がリーバイス504ZXX、下がジェラード301XX |
【裾の部分】上がリーバイス504ZXX、下がジェラード301XX |
リーバイス504ZXXは股の部分からカーブを描いて細くなり、その後裾に向かって真っ直ぐに落ちていくのですが、ジェラード301XXは股の部分からもも、裾に向かって緩やかにテーパードしていき、裾幅はほぼ同じになっており、独特なシルエットになっています。ももの部分が太く感じられるようになっているのが特徴的です。
また、股上の深さもヴィンテージリーバイスとはかなり異なっています。上の写真は、後ろのシームで合わせて両者を対称的に並べた写真ですが、ウエストベルト1本分、ジェラード301XXが股上が深くなっています。実際に穿いてみると、リーバイス501よりも701に近いという印象を受けます。かなり大きな差になるので、好みが分かれるところであると思います。
最後に、シルエットそのものではないのですが、バックポケットの付き方もかなり違います。上の写真左のリーバイス504ZXXはバックポケットはバックヨークにほぼ平行に付いているのですが、写真右のジェラード301XXはバックポケットとバックヨークとの間にかなり角度があります。これは、なぜか左ポケットのみで、右ポケットはさほど角度が付いていません。また、ポケット自体も右上がやや尖ったような形になっています。
3 まとめ
実は、このブログを書いている今、ジェラード301XXを穿いてから約2週間程度経過したところですので、その感想も踏まえてまとめていきたいと思います。
まず、生地については、レプリカジーンズを好む人にはスラブ感などで物足りないと受け取られるかもしれません。しかし、ヴィンテージを再現したという触れ込みのとおりのもので、スラブ感、色、生地の柔らかさ、ハリ、コシなど、いずれも好印象です。肌に触れたときの着心地は、ビンテージのそれにとても近く感じられます。
次に、シルエットについては、リーバイス501を再現したジーンズを穿いているという感じは乏しいです。1950年代のファッションを意識しているものだと思いますが、股上が深い点や、一般的なストレートジーンズではなくチノパンのように裾に向かって緩やかにテーパードするシルエットなど、好みが分かれるように思います。
ヴィンテージデニムが好きな私からしても、もう少し穿いていき、生地がどういった表情を見せてくれるのか楽しみになっています。より色落ちが進んだときには、改めてブログにまとめたいと思います。