2020年10月31日土曜日

JELADO 301XX、WAREHOUSE DEAD STOCK BLUE 1000XXをヴィンテージと比較してみる (その1)

1 はじめに 



 2020年の秋に入って、ジェラードから新開発の生地"LAST RESORT"を使用した301XXが、ウエアハウスから新開発の生地"DEAD STOCK BLUE"を使用した1000XXが発売されました。

 ジェラード"LAST RESORT"は、デッドストックのリーバイスXXをの生地を分析してその結果を忠実に再現すべく製作されたとされています(ただし、メーカー公式のYOU TUBE動画では染めに関してはアレンジされていると説明されています。)。また、ウエアハウスは、元々ヴィンテージの再現をブランドコンセプトにしていますが、"DEAD STOCK BLUE"は、デッドストック状態での経年による酸化を再現すべく新たに開発した生地と説明されています。
 私自身は、これまで「ヴィンテージの再現」を謳って発売された日本のレプリカジーンズをいくつか購入して試したことがあるのですが、色落ちの印象はヴィンテージデニムに近いものが多いと思う反面、(1)色味と色の深さ、(2)スラブ感、(3)生地の質感、触感、着心地といった点で、ヴィンテージとは異なる方向性を持って作られているという印象を受けており、これらのレプリカはヴィンテージとは似て非なるものと捉えてきていました。また、そもそも日本のデニムが独自の評価を固めている中で、ヴィンテージを目指すことに意味があるのか?とも考えています。
 しかし、ここに来て上記のようなヴィンテージ志向の新商品が出たこともあり、また、新型コロナウイルスの流行で衣類の洗濯をまめにしなければならない中でヴィンテージデニムを気軽に着られないということもあり、久しぶりにヴィンテージ志向のレプリカデニムを試してみようかという気分になってきました。

 今回のブログでは、ジェラード301XXとウエアハウスの新1000XXをオリジナルヴィンテージと比較し、ヴィンテージの再現という点で日本のデニムがどこまで進化しているのか、私なりに見ていきたいと思います。

 今回の比較対象には、レザーパッチのリーバイス504ZXXとギャラ入り紙パッチのリーバイス504ZXXを用いました。前者は1953~54年辺り、後者は1955年ころの製造でないかと思われます。ジェラード301XXはおそらくこの辺りの時期をターゲットにしたものである一方、ウエアハウス1000XXはいわゆる1946年モデルをターゲットにしているのですが、残念ながら同時期のリーバイスのデッドストックは所有していないので、やむを得ないところです。ただし、色の濃い状態のでほぼ同時期の503BXXは所有しているので、ウエアハウス1000XXの糊を落としたときには、改めて比較してみようかと思います。

2 概観


 ヴィンテージ2本、レプリカ2本を並べてみた写真、表記サイズは、リーバイス504ZXXがいずれもW27・L34、ジェラード301XXがW28(レングス表記なし)、ウエアハウス1000XXがW28・L32です。



 次は、生地を比較した写真になります。今回はおまけとして、ヴィンテージ再現系のレプリカとしては定評のあるフリーホイーラーズ601XX(1947年モデル)の旧生地・新生地も並べています。いずれもまだ糊の付いた状態のものです。

 写真だとどうしても細かいニュアンスが出ないのですが、色味に関しては、ジェラード301XX、ウエアハウス1000XXのいずれもヴィンテージリーバイスに近い色合いが出せており、特にウエアハウス1000XXは、デッドストックの色味を再現に力を注いだのか、かなり近い色合いと言えます。あえて言えば、(1)ヴィンテージリーバイスと比べてジェラード301XXはやや赤みが強く、ウエアハウス1000XXもジェラード301XXほどではないが若干赤みが強い、(2)ヴィンテージリーバイスは少し乾いたような色合いであるがレプリカの2本はそれとは異なる、といった違いは挙げられます。しかし、個体差レベルと言ってもよいほどの差です。

 他方、写真では分からないことですが、生地の質感については、ウエアハウス1000XXは、ヴィンテージリーバイスと明らかに異なっていて、いかにもレプリカの生地だなという印象を強く受けました。一方で、ジェラード301XXの生地の質感は、ヴィンテージリーバイスと比べても、あまり違いを感じませんでした。

 ざっと見ていくと以上のとおりなのですが、次回から、ジェラード301XXとウエアハウス1000XXのそれぞれについて、もう少し深く比較していきたいと思います。