前回は、革パッチ期からごく最近のものまでの11本のリーバイスの生地の色の変遷をざっくりと見ていきましたが、今回からは2回に分けて、革パッチ期のものを基準としながら11本をもう少し丁寧に見ていきたいと思います。
革パッチ期からの11本のリーバイス501 |
条件を同じにするためスキャナで撮った生地の画像 |
1 革パッチ期のXXとギャラ入紙パッチ期のXX
左が革パッチの504ZXX、右がギャラ入紙パッチの504ZXX |
一般的には革パッチのものの方が古いとされているのですが、フラッシャーやギャランティーチケットはギャラ入り紙パッチに付いているものの方が古いため、実は、この2本のうちどらちが先に製造されたのか判然としないところがあります。
この2本で比較すると、革パッチの方は黒みががっているように見えるほどインディゴの深みが強くなっていますが、これと比べてギャラ入紙パッチの方はほんの少し色の深さが弱く青みが強くなったように感じられます。また、経年変化の違いの可能性が高いですが、ギャラ入紙パッチの方はほんの少し色が褪せて色のコントラストが弱くなっているように見えます。
2 ギャラ無紙パッチ期のXX
左が革パッチの504ZXX、右がギャラ無紙パッチの503BXX |
ギャラ無紙パッチのものは、革パッチのものと比べると、やや青みが強くなるとともに、赤みが出ているのかやや紫に寄った青さになっています。また、色のコントラストが強く、深さがありながらも鮮やさを感じます。色の深さだけで見るならばギャラ入紙パッチのものよりも色が深く、革パッチのものに近いように見えます。
3 BIG E
左が革パッチの504ZXX、右がBIG E |
あえて言うならば、革パッチのXXの方が色が深く鮮やかで、BIG Eはやや乾いた色合いなのですが、やはり個体差の問題とも考えられる程度の違いです。もう少し違いが出るのではないかと予想していたので、正直に言って意外な結果でした。
4 66前期
左が革パッチの504ZXX、右が66前期 |
硫化染料による下染めが導入された明確な時期について明確には分かりませんが、リーバイスの復刻版(LEVI'S VINTAGE CLOTHING(LVC))の501の1976年モデル、1978年モデル(本稿執筆時点で既に廃番)に付いている製品紹介の手紙風パンフレットにはいずれも"
The fabric was a bright shade of sulfur-dyed indigo"と記載されており、公式には、少なくとも1976年時点で硫化染料で下染めしたデニムが用いられていたという立場をとっているようです(※)。
※ 他方で、2013年春夏に発行されたINVESTORY誌4巻8号掲載のコーンミルズ社の特集記事"CONE MILLS: THE HOME OF AMERICAN DENIM"では、"a 1978 denim -- complete with a sulphur bottom for quicker fading"という記述があります。
一般に硫化染料を用いたサルファー染は褪せた色合いが特徴なのでここまで鮮やかな青になるのかは分からないのですが、硫化染料による下染が1976年に既に取り入れられており、これにより生地の色の変化がもたらされた可能性もあるのかと思います。
少し長くなってしまったので今回はここまでとし、次回は赤耳モデル以降の生地を見ていきたいと思います。
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